内臓シリーズ 胃編
前回は食道について書きました。
今回は胃について書いていきます。
胃は、口から食道を通って入ってきた食物が蓄えられる袋のような臓器です。空腹のときは細長くしぼんでいますが、満腹時には大きくふくらんで食べ物や飲み物を1.5~2.5リットルも貯めこむことができます。
摂取した食物をとりあえず蓄える。
消化の第一段階が行われる。
1大量の胃酸が分泌される。(1日に1.5~2.5リットル)
胃液の主な成分
・粘液(胃壁を保護し、消化をスムーズにする)
・塩酸(強い酸性で外来の細菌を殺す)
・ペプシノーゲン(蛋白消化酵素ペプシンのもとになる物質。塩酸によりペプシンとなる。)
2胃壁表面の粘膜層には、胃液の3成分を分泌する細胞がたくさん並んでいる。
3胃が動いて(収縮運動)、食物をこね回し、胃液をよく混ぜ合わせて、食物をどろどろの状態(粥状)にする。
どろどろの状態になった食物を、ゆっくりと十二指腸へ送り出す(蠕動(ぜんどう)運動)。
胃の入口である噴門、出口である幽門で、内容物の通過をコントロールしています。
食物が入ると閉じて、食道に逆流しないようにするのが噴門、食物を少しずつ十二指腸に送り、一気に流れ出ないようにするのが幽門です。
この構造によって、食物は一時的に胃に貯蔵されると同時に、胃の筋肉の蠕動(ぜんどう)運動によって胃液と混ぜ合わせられ、おかゆのような状態になるまでかき混ぜられます
これが胃の主な働きです。
胃のトラブル
胃は、消化に欠かせない胃酸などを分泌して消化を促す一方、自らを粘液で守っています。
しかし、強力な胃酸は、ときとして脅威にもなり、粘液が減ったり、胃酸の分泌が過剰になったりすると、胃酸の刺激で胃粘膜が荒れてしまいます。
つまり、胃酸などは攻撃因子で、粘液や粘膜の血流などは防御因子といえるのです。
胃の働きは、こうした仕組みがもたらす絶妙なバランスで保たれていますが、そのバランスが崩れると、胃炎や胃潰瘍などのさまざまなトラブルが起こります。
バランスを崩す要因としては、よく話題になっているピロリ菌、過度なストレス、アルコール、喫煙などがあげられます。
ピロリ菌
らせん形をした細菌で、正式名称「ヘリコバクター・ピロリ」。
この菌は、アンモニアをつくり出すウレアーゼという酵素をもち、自分の周りの塩酸(胃酸)をアンモニア(アルカリ性)で中和することで、胃の中でも生きられます。
ピロリ菌から出る毒素やつくられたアンモニアが胃を荒らします。
免疫が不十分な幼少時に感染するとみられています。
過度なストレス
ストレスを受けるとこれに対抗するために、体内で抗ストレスホルモンがつくられ、ストレスを緩和します。
抗ストレスホルモンは、血液中の糖分を増やし、全身の細胞がエネルギーをつくりやすくしますが、胃粘膜の防御機能を弱めてしまいます。
お酒
高濃度のアルコールは、胃粘膜を直接刺激します。
また、胃の中の濃度によって胃酸の分泌を促進させたり、低下させたりします。
個人差もありますが、アルコール濃度が約8%以上になると胃酸の分泌が増え、約32%以上になると逆に分泌が抑えられます。
また、アルコールは胃の蠕動(ぜんどう)運動を抑えるため、胃もたれの原因にもなります。
タバコ
粘膜の血流量を減らすので、粘液の分泌が抑えられ、胃の防御力が下がり、相対的に胃酸の攻撃に対して弱くなります。
重要ではない臓器はありませんが、胃は最初に食べたものを消化する器官ですので、特に重要な臓器です。胃での消化が上手くいかなければ、すべての栄養素は吸収されません。菌やストレスを回避するのは難しいことかもしれませんが、タバコやお酒は自分の意志で何とか出来るものです。ストレスをタバコやお酒で解消すのは持っての他です。食生活も勿論影響しますので、心当たりのある方は今一度生活習慣を見直してみてください。
川出でした。
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This post was written by ベルリオ